MAMA 著 紅玉いづき

MAMA (電撃文庫)
 海沿いの王国ガーダルシア。トトと呼ばれる少女は、確かな魔力を持つ魔術師の血筋サルバドールに生まれた。しかし、生まれつき魔術の才には恵まれなかった。ある日トトは、神殿の書庫の奥に迷い込んだ。扉の奥から呼ばれているようなそんな気がしたから。果たしてそこには、数百年前に封印されたという人喰いの魔物が眠っていた。トトは魔物の誘いにのった。魔物はその封印から解き放たれ、トトは片耳を失った。そして強い魔力を手に入れた―。これは、孤独な人喰いの魔物と、彼のママになろうとした少女の、儚くも愛しい歪んだ愛の物語。第13回電撃小説大賞“大賞”受賞『ミミズクと夜の王』の紅玉いづきが贈る、二つ目の“人喰い物語”。
 俺は、この作者ならずっと追いかけても損はないと思った
 電撃文庫の全体の客層から見れば、この作者の作品は決して受けのいいものではないんだろうな、とは思う。所謂萌えキャラなんてものは出てこないし、流行に乗ったストーリー展開でもないし
 ただ、それでもこのライトノベルはお勧めしたい、作品の雰囲気、読み終わったときの満足感、盛り上げ方、『ミミズクと夜の王』を昔読んだ時にも思ったが、この作者のファンタジー世界の創作能力というのはとんでもないレベルにあると思う
 しかし、電撃文庫の大賞ってのは侮れないというか、割とヒットメーカーを打ち出している印象があるのだが、デビューの門出が広い分そんな印象があるだけだろうか